加速Gとトラクションの関係

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これまでは駆動力=トラクションについての具体的な内容を話してきましたが、ここからはバイクのメカニズムに関わるちょっと小難しい話になる箇所もあるのでご了承のほどを。まず、アクセル開度に応じてエンジンパワーもアップします。ハーレーの場合、このエンジン内部で発生した力は、ドライブチェーン(ベルト)といわれる二次駆動を介して後輪へと伝達されます。

 

このとき、アクセルワークに応じて回転力を増す後輪は、路面との接地面であるトレッド部分も確実にグリップ力がアップ。そして、その反発する力として、バイクを前方に押し出す力が働くのです。つまり、グリップの反力がバイクを押し出す力になるということ。ここからがちょっと専門的な話になるのですが、車体を前に押し出す力は、リアタイヤを支える軸である「アクスルシャフト」から「スイングアーム」へと波及。そこから、バイク本体側のスイングアーム連結部分である「スイングアームピボット」を押すわけです。

 

本体側の「スイングアームピボット」が押されるということは、300kg前後という巨体のハーレーを前に押し出すことですから、当然、トラクションにとっては大きなロスとなります。しかし、その前に実は、本体側の可動部分である「スイングアームピボット」に前へ押し出すトラクションが集中すのではなく、そこから上方への「逃がし」があるのです。要は、スイングアームピボットを前に押し出す力のみでなく、上へと持ち上げる力も発生させているということです。

 

 

加速Gと持ち上げる力のバランス

そしてこの上方へ働く力が、シート下のフレーム部分「シートレール」を持ち上げる力となって作用します。ここからは勘の良い人であればそれなりに予測が付くでしょうが、加速すると自分の着座した下側や後方へと加速Gが発生します。つまり腰を軸に、下側や後方へと引っ張られる力が起きるのを、先の後輪からのトラクションがうまくバランスさせるのです。そして、この調整を効果的に発揮するピボット位置やスイングアームの角度というのは、あらかじめメーカーが考え抜いて設計したもの。リア回りの安定感から派生するバイク特性はこうした緻密な設計により生まれているわけです。

 

 

 【後輪の働き】他のポイントも合わせてご覧ください 

 【後輪の働き】トップ

 

トラクションで安定力をキープ
 トラクションの本質を学ぶ
 アクセルワークからのトラクション効果
 加速Gとトラクションの関係
 加速Gではフロントフォークが伸びている
 トラクションによるグリップ力と安定力

 

リアステアで後輪を軸に曲がる
 リアステアの前に曲がる構造を知る
 ハンドルではなく、車体を傾けることで曲がる
 フロントとリアタイヤの関係性
 リアステアは、後輪で曲がる基本性能
 他メーカーのバイクも基本はリアステア
 前輪荷重のバイクにもリアステアが求められる
 後輪の接地点を軸に、倒れていくイメージで
 バイクは後輪で乗るイメージを持つ
 うまくなるには後輪の挙動を尻で感じる
 後輪と車体をつなぐ一本の棒をイメージ

 


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