低速時のバランスはシートの座面で取る

2014年5月16日 Category - 基本操作 Comment : 0

車重がありサイズもアメリカンなハーレーは、中高速域での走行時はバツグンの安定感を誇り、例え両手を離したとしても、さほど不安はないものです。しかしそれが渋滞時などの極低速走行になると話は変わってきます。安定感がまったくなくなって、ふらつく車体のバランスを保つのがやっと。バイクの走りを楽しむどころの話ではなくなってしまうのです。更に、車の間をすり抜ける時などにその幅が狭いと、バイクが当たらないように気を遣う余り、かえって緊張感が増してふらつきが増してしまいます。

でもこのふらつきが大きくなる主な要因は、緊張感などの心理的な側面ではなく、バイクバランスをハンドルで立て直そうとする物理的なものなのです。例えば、バイクが左へ倒れそうだと感じてとっさにハンドルを右側へ切ると、車体が立ち直ることはなく、更に左側へ傾斜してしまいます。これは停まった状態でハンドルを左右に切ればより明確に分かりますが、右へ切れば反力が働いて車体は左側へ、左へ切れば右側に傾くのです。ハンドルを手で操作しようとすれば必ず逆の動きになりますから、ハンドルでバランスを取ろうとすること自体無理があるのです。

ニーグリップからシート座面へ

そこで、極低速時はハンドルには一切頼らず下半身、ニーグリップでバランスを取るようにします。もしふらついてしまった場合は、このタンクを挟んでいる両ヒザに意識を集中してうまく力の出し抜きを行ってバランスを取ります。ちなみに、このふらついた状態では決してハンドルを操作しないように。両手はあくまでも添える程度のイメージで、ニーグリップだけでバランスを取ることを徹底しておきましょう。

この下半身でバランスを取るやり方に慣れてくると、除々にニーグリップの必要もなくなってきます。そして実は、本当の狙いはシートの座面でのバランスコントロールなのです。シート上のわずかな面積でもライダーのお尻を左右へ動かす体重移動は十分に出来ますし、ここではクイックな動きを要求しているわけではありません。むしろ、ゆっくり動かす程度の方がふらつきからのバランス調整は上手くいくものです。